相続による賃貸不動産の取得
ブログ 不動産 相続税 確定申告
更新日: 2019/12/02
相続により賃貸不動産を取得される方もおられるかと思います。
相続後、賃貸不動産に係る確定申告が必要であることはお分かりになる方も多いかと思いますが、それ以外にも注意すべき事項がありますので、説明させて頂きます。
1.青色申告の承認申請手続き
通常、青色申告の承認を受けようとする場合には、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり、不動産の貸付をした場合には、その事業開始等の日から2月以内)に青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。
但し、被相続人がその事業につき、青色申告の承認をうけていた場合には、青色申告承認申請書の提出期限は、相続開始を知った日(死亡日)の時期に応じて、以下の通りとなります。
① その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合・・・その死亡の日から4カ月以内
② その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日まで
③ その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合・・・その年の翌年の2月15日まで
なお、被相続人が白色申告の場合には、原則通りの取り扱いとなります。
2.減価償却資産の耐用年数と減価償却費
相続によって取得した減価償却資産については、その減価償却資産を取得した者から引き続き所有していたものとみなして取り扱われることとなりますので、被相続人の取得時期及び耐用年数を引き継ぐことになります。
なお、減価償却資産の取得価額及び未償却残高も同様に相続により取得した者が引き続いて所有していたものとみなされる(被相続人の取得価額及び未償却残高を引き継ぐ)ことになりますが、減価償却の方法については、取得時期により異なり、この「取得」には相続、遺贈又は贈与も含まれますので、被相続人が「旧定額法」で減価償却を計算した場合でも、相続人は「定額法」で計算する場合もありますので、注意が必要です。
3.減価償却資産の償却方法の届出書
所得税の減価償却資産の償却方法の届出書を提出していない減価償却資産は、原則として、定額法が法定償却方法となります。
従いまして、相続によりその事業を引き継ぎ、新たに事業を開始することとなった相続人が、建物附属設備、構築物等について定率法を採用しようとする場合には、相続によりその事業を引き継いだ日の属する年分の確定申告書の提出期限までに、その旨の届出書を提出する必要があります。
4.固定資産税の必要経費算入
固定資産税等のように賦課課税方式による租税で、納期が分割して定められている税額については、各納期の税額をそれぞれ納期の開始の日又は実際に納付した年の属する年分の必要経費に算入することができることとされています。
必要経費に算入する場合には、その全額、納期到来分、納付済額のいずれかの方法によることができます。相続人においては、被相続人の必要経費算入額の残額について、自己の必要経費とすることができます。
相続が発生した場合、ご葬儀から始まり、公的機関等での手続きなどやるべきことが多く、相続人ご自身の事まで気が回らない方も多いように感じます。
青色申告の手続きなどは、手続き自体はそれほど難しいものではありませんが、忙しい日々の中で忘れがちな項目となりますので、注意していただければ幸いです。
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ご相談時にご用意頂きたい資料
- ・記帳済みの通帳
(相続発生日の残高証明書を入手済みで あれば、残高証明書) - ・固定資産税の賦課決定通知書
- ・生命保険金の保険証書
(保険手続きが完了されている場合は、保険金支払通知書)